意外に思えるかもしれませんが、実はSF小説にはビジネスに役立つ様々な示唆が含まれていることをご存知でしょうか?
SF小説は「サイエンス・フィクション」という言葉が表すとおり「(架空のものも含めて)科学やテクノロジーが社会や人間観に与える影響」を描写している文学のジャンルです。
そしてこの「社会習慣や人間関係はどう変わっていくのか?」を先読みする能力は優れたビジネスマンにとって必ず役に立つ能力でもあると筆者は確信しています。一年を締めくくり、訪れる来年に思いを馳せる年末年始にSF小説を読んで未来を先読みするセンスを磨いてみてはいかがでしょうか。
それでは、筆者の独断と偏見で選ぶビジネスセンスを磨けるSF小説9選、ご紹介していきます!
目次
Gene Mapper(ジーン・マッパー)
作物の遺伝子をマークアップし、外観を設計するスタイルシート・デザイナー、林田のもとへ「ジャパニーズ・サラリーマン」を演じる黒川から調査依頼が入った。
カンボジアへ納品したスーパーライス、SR-06に描いたロゴが崩れ始めたというのだ。原因はコーディングのミス?アップデートの失敗?それとも……
原因を探るため、林田は「キタムラ」と名乗る人物に誘われ、2014年に封鎖されたインターネットが生きている街、ホーチミンへ飛ぶ。
フルスクラッチで作物を作れるほどの遺伝子工学、現実と見分けられないほどの拡張現実が当然のものとなった2037年。
たゆまなく前進する科学技術は人類の繁栄を約束するのか?
終わりなき戦い
WORLD WAR Z
いわゆるゾンビものSFですが、この作品のすごいところは荒唐無稽な設定をそうと思わせない緻密な設定とシミュレーションです。もし現実世界にゾンビが現れたらどうなるか?という妄想を、説得力ある想定を積み上げることでまるでノンフィクションのように読ませる力のある作品です。
ゲーム・ウォーズ
来年春の公開を予定している映画「レディプレイヤー1」の原作として有名な本作。VR世界をテーマにした作品ですが、なんと作中にガンダムや春麗 デロリアンなどが登場することが予告されているSFアクション大作。
原作が最高に面白かったので個人的に超期待大の作品です。
量子怪盗
その頃、火星では千年紀長者ウンルー主催のパーティーの準備が進んでいた。怪盗から届いた予告状に対し、気鋭の青年探偵イジドールが呼び出された! 超ハイテク世界の火星で展開されるポストヒューマン時代の怪盗対名探偵の対決。
遠い未来の超テクノロジーがふんだんに登場するハードめなSFですが、注目したいのは「時間を通貨として使用する社会」という設定の面白さです。このアイディア自体は映画 TIME/タイムなどでも採用されているのですが、本作はよりテクノロジーが進化した超未来が舞台で、進んだ技術がある分かえって時間こそが価値のある資源として考えられているという設定。
タイムマシン経営やシェアリングエコノミーにも通ずる「時間」と「価値」の物語は、ビジネス脳もビンビン刺激してくること間違いなしです。
ニンジャスレイヤー
ニンジャ抗争で妻子を殺されたサラリマン、フジキド・ケンジ。彼自身も死の淵にあったそのとき、謎のニンジャソウルが憑依。一命をとりとめたフジキドは「ニンジャスレイヤー」――ニンジャを殺す者となり、復讐の戦いに身を投じる……!!
原作者から権利を取得した翻訳チームにより、Twitter上での翻訳連載が開始された「ニンジャスレイヤー」。強烈な言語センスを忠実に訳した翻訳は「忍殺語」とも呼ばれ、中毒者を生み出し続けてもはや相当にスゴい!「マルノウチ・スゴイタカイビル」「実際安い」「Wasshoi!」「古代ローマカラテ」といった超自然単語群が読者にニンジャリアリティショックを引き起こしてしまうのだ! ツイッターでついた火が、いま炎となる。走れ、ニンジャスレイヤー、走れ!
あらすじを読んだだけでは「な… 何を言っているのか わからねーと思うが」状態だとは思いますが、この作品は本当に面白いです!
基本ストーリーは妻子を殺された男の復讐譚なのですが、圧倒的に間違った日本観(褒めてます)とワードセンスに不思議な中毒性がありファンを増やし続けている怪作です。
ふわふわの泉
文化祭を前に泉は、ただ一人の部員・保科昶(あきら)とフラーレンを生成する化学実験を行っていた。そのとき学校を雷が直撃!
実験失敗と落胆する泉の眼前には空気中に浮かぶシャボン玉のような粒子が生まれていた。
ダイヤモンドより硬く空気より軽いその物質を泉は“ふわふわ”と名づけ、一儲けしようと考えるのだが・・・・・・
ひょんなことから革命的な新技術を開発してしまった女子高生が起業家精神/冒険家精神を発揮して世界を変える挑戦に挑む、という本作。
科学に対する情熱と、そこから産まれる可能性を実現するため「経営」に乗り出す様が読んでいて痛快です。偶然の閃きをしっかり育てて壮大なビジョンを描く・・・、これってもしかしてSFを道具に起業家精神を描いた作品なのかもしれないと思ってしまいます。
白熱光
現代SF業界のなかでも最高峰に位置するのではないかと思われるグレッグ・イーガンの代表作。
実際に読んで感動を味わってほしいのであえて内容には深く触れませんが、上質なミステリーにも通じる思索と探求の科学的アプローチをじっくりと読むことができる名著です。
星を継ぐもの
謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが……。
数々の賞を受賞した名作中の名作。SF小説ランキング等には必ずと言っていいほど登場する歴史的作品です。
1つの謎を解くたびさらに新たな謎が提示される展開にページをめくる手が止まりません。問題にぶつかるたびに新たな解決策を編み出す姿勢は、ビジネスマンも見習うべきものだと思います。